22°ハロ
別名
英名
氷晶
配向
レア度
暈、日暈、内暈、ハロ
22° halo
六角柱状氷晶、クラスター
ランダム配向
揺れの大きいカラム配向
★☆☆☆☆☆☆☆
50~120回/年
概説
●22°ハロとは
見た目は光源を囲む、半径が視角22°の円形の虹色(大抵は内側が赤、外側が白)である。最も代表的な大気光学現象の一つであり、「ハロ」「暈」という言葉自体がこの現象を指していることも多い。(ちなみに視角22°というのは、ちょうど肘を伸ばした状態で手のひらを開いたときの親指先と小指先の距離である。)
とても頻繁に観測でき、多くの統計では年に50~120回は出現するとされている[1]。
●原理
六角柱状氷晶がバラバラな向きで存在・回転しているとき、六角柱状氷晶がc軸を水平にして大きく揺動させているとき、及びクラスター(角柱集合や砲弾集合等)が存在しているとき[2]、氷晶の側面と一つ飛ばした側面とで形成される60°プリズムに光が通ることで生まれる。
氷で出来た60°プリズムを光が通過すると約50~22°曲がるが、特に約22°曲がる光が多い(「最小偏角が22°」という)。雲の中にある無数の氷晶がランダムに回転していることで曲がった光はあらゆる方向へ放射されるが、観測者は観測者一点に収束する光のみを知覚するため、太陽から視角22°離れて囲む円として認識される。また色の波長によって屈折率がわずかに異なり(=最小偏角も異なり)、可視光の内で赤色の光の最小偏角が最小の21.7°であることから、22°ハロは内側が赤色と見えるのである。
以上の原理より22°ハロの内側は相対的に光が減っており、さながら虹でいう「アレキサンダーの暗帯」のように暗くなっている。
無数の氷晶によってあらゆる方向に曲がった光、及び観測者に収束する光
22°ハロが何故分光が弱いかというと、下記の散乱の影響もあるが、プリズムが分光を起こす方向と氷晶の回転方向が一致し、分光した光が混じりあってしまうためである。ただし最も内側の部分は、可視光の中で最小の最小偏角を持つ赤色の光が集中し支配的になるため、赤色だけははっきりと認識できることが多いのである。(同じことが幻日、タンジェントアーク、46°ハロ等にも言える。一方で環天頂・環水平アーク、ラテラルアーク、パリーアーク、パリーラテラルアーク等は不一致のため分光が強く青色もよく見える。)
●変形・出現光源高度
「氷晶の質が悪い(小さ過ぎる、形がそろっていない、氷晶面が汚い)」、「大気に水滴等の粒子が多い」といった理由で光量が低下したり、散乱が強まることで幅が太くなり分光も弱くなる。ピラミッドハロディスプレイで23°ハロや24°ハロが同時に出現した際、時にそれぞれのハロの区別が出来ず22°ハロの幅が太く認識されることがある。
光源高度に関わらず出現し、形状も変化しない。
[1]日本気象学会機関紙「天気」64巻(2017年)、鵜山義晃氏の「大気光学現象の出現頻度」によれば、太陽光では年49.2回、月光では年5.0回とされている。 また日本においての大気光学現象のシーズンは2月~6月であり、春の温帯低気圧の前面や、秋の梅雨前期の梅雨前線が南岸にあるときに巻層雲が生まれやすいことが影響していると考察されている。22°ハロのシーズンもこの時期に一致している。
以下、別の有志の方々による統計
年80-120回 Arbeitskreis Meteore e.V.
年100回以上 空の輝き
年100.2回 雪結晶・人工雪と過冷却水の実験
年80回 科学する空
[2]Atomospheric optics Bullet Rosettes & 22° Halos
他の形態
●月暈
月にかかる22°ハロは月暈(つきかさ、つきがさ、げつうん)とも呼ばれ、満月に近いときにしか現れにくい(半月ほどでも見られることがある)ことから通常の22°ハロよりも希少性が高い。
●火球による22°ハロ
天体現象である火球は、時に太陽や月と同等もしくはそれ以上に明るくなるため、ハロを作り出す光源の役割を果たすことがある。
●グラウンド(サーフェス)22°ハロ
地面や車の窓ガラスに氷晶が形成されることで生まれる、空ではなく平面に浮かび上がる22°ハロ。虹でいう露虹のようなもの。
Atmospheric Optics
22°グラウンドハロ
Atmospheric Optics
22°、46°グラウンドハロ
⇒ Pintahalo - 7.10.2015 klo 09.00 Rovaniemi
Taivaanvahti
22°、46°グラウンドハロ
⇒ Pintahalo - 7.4.2012 klo 08.17 Kontiolahti
Taivaanvahti
22°、28°、35°、46°グラウンドハロ
●拡散光の22°ハロ
ダイヤモンドダストが起きると太陽や月だけでなく街灯や車のライトでも22°ハロが起きる。太陽や月といった平行光とは異なり、そういったライトは点光源、拡散光となる。
拡散光の22°ハロは通常のものとは異なり、観測者・光源・氷晶の位置関係で大きく形を変える。以下の図に示した Minnaert's cigar と呼ばれる葉巻型の仮想立体の断面として現れ、22°ハロなのに半径は視角22°未満となる。グラウンドハロとして現れたとき、位置によっては光源を取り囲まないこともある。
⇒ Diamond dust display with a possible new halo
Ice Crystal Halos
通常の22°ハロと拡散光の22°ハロのツーショット、半径の違いが分かる。
⇒ Divergent light 22° halo on snow surface
The Halo Vault
拡散光による22°グラウンドハロ、Minnaert's cigar の下部分の断面として現れている。
シミュレーション上では、多重散乱有り、50000000光点の設定でやっと見える程度。
●他の度数のハロ
ハロと名の付く現象は数多く存在する。22°ハロとは全く異なる原理による現象も多数あるが、知識の整理という意味も込めてまとめてみたので参考にしてほしい。
エキゾチックハロの一種
ピラミダルハロの一種
モイラネンハロの別名
エキゾチックハロの一種
ピラミダルハロの一種
エキゾチックハロの一種
ピラミダルハロの一種
エキゾチックハロの一種
ピラミダルハロの一種
ピラミダルハロの一種
エキゾチックハロの一種
ピラミダルハロの一種
外暈
臨界角効果のハロ
真偽不明のハロ、へべリウスのハロとも呼ばれる
光源高度30-40°以上のタンジェントアークの形態
扁平ピラミッド型氷晶のハロ、太陽を囲む
扁平ピラミッド型氷晶のハロ、映日を囲む
対日周囲視角20-30°の半径のハロ
真偽不明のハロ