一次テープアーク
別名
英名
氷晶
配向
レア度
一次パリーラテラルアーク
46°パリーアーク
primary Parry
supralateral/infralateral
arc, primary Tape arc,
primary 46° Parry arc
六角柱状氷晶
パリー配向
★★★★★☆☆☆
1回/年
概説
●一次テープアークとは
見た目は光源の斜め4方向、視角46°近くに現れる、光源に凸の小さな虹色の弧である。上の弧を上部一次テープアーク、下の弧を下部一次テープアークと呼び、それぞれ上部、下部ラテラルアークと必ず接して現れる。
凸の弧として見えるのは理想的な状態の時のみで、多くはラテラルアークの一部の光度が強まっている程度にしか認識できない。
一次テープアークが現れたときは氷晶が理想的なパリー配向になっている可能性が高く、パリー配向はカラム配向を伴うことが基本のため、幻日環、タンジェントアーク、ラテラルアーク、パリーアーク、太陽アーク、映日アーク、向日アーク(ウェゲナー、トリッカー、グリーンラー、トランクル)、対日アークが出現している可能性が高い。
●歴史
1820年にWilliam Parryはラテラルアークの一部が明るくなっていることを報告し、1986年にWalter Tapeが理論的に説明したことから、テープアークと名付けられた。
●出現頻度
比較的稀にしか観測されず、年に1、2回程しか出現しないとされるが、ダイヤモンドダストでは比較的頻繁に観測される。[1]
●原理
六角柱状氷晶がc軸を水平にして、六角柱側面を水平にし、鉛直軸を中心に回転しているとき、氷晶の側面と底面とで形成される90°プリズムに光が通ることで生まれる。氷で出来た90°プリズムを光が通過すると約46°曲がる光が多い(「最小偏角が46°」という)ことから、光源から視角46°付近に出現するとざっくり考えて良い。
光路を考えると、「傾いた環天頂アーク」としても捉えられるかもしれない。
また色の波長によって屈折率がわずかに異なり(=最小偏角も異なり)、可視光の内で赤色の光の最小偏角が最小であることから、一次テープアークは内側が赤色に見える。そしてプリズムが分光させる方向と氷晶の回転方向が一致しないため非常に鮮やかになる。これは環天頂アークや環水平アーク等にも同じことが言える。
●変形・出現光源高度
ラテラルアークの変形に付き従うように移動し、上部は光源高度30度まで、下部は光源高度55度まで観測される。
しかし氷晶面の比率等で振る舞いが多少変化するため、度数は参考程度にされたい。
光源高度による一次テープアークの形状、位置の変化
黄 上部一次テープアーク
橙 下部一次テープアーク
観測例
Atmospheric Optics
上部テープアーク含むマルチディスプレイハロ。
Atmospheric Optics
上部テープアーク含むマルチディスプレイハロ。
Atmospheric Optics
上部テープアーク含むマルチディスプレイハロ。
Atmospheric Optics
上部テープアーク含むマルチディスプレイハロ。
Atmospheric Optics
上部テープアーク含むマルチディスプレイハロ。
Atmospheric Optics
上部テープアーク含むマルチディスプレイハロ。
Atmospheric Optics
人工灯による上部テープアーク含むマルチディスプレイハロ。
Atmospheric Optics
上・下部テープアーク含むマルチディスプレイハロ。
⇒ Jackson Hole Ice Halos Display
Atmospheric Optics
上・下部テープアーク含むマルチディスプレイハロ。
⇒ Outstanding Halo Display, Germany
Atmospheric Optics
上・下部テープアーク含むマルチディスプレイハロ。
他の形態
●月の一次テープアーク
月の光で起きる一次テープアークは、太陽によるものより遥かに珍しい。
●二次テープアーク
光源高度が低いときに現れる、一次テープアークより少し遠方にずれて出現する弧で、下部のみ観測されている。
光路を調べたところテープアークは「底面→側面」と「側面→底面」の2種類があり、光源高度約10°を境に一次テープアークと二次テープアークの役割が入れ替わっているようで、結局はどちらも同じものと言えそうだ。光源高度0°~約10°であれば前者が、光源高度約10°~10数°までは後者が二次テープアークとなる。