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概説

●The Lascar displayとは

 1997年11月27-28日に、チリのアンデス山脈中央のラスカー山麓(南緯22度22分、西経67度44分)にて、Marko Riikonen、Leena Virta、Daniel Sullivanらによって観測された多数のエキゾチックハロを含む一連のディスプレイのことである。

 最初に確認されたのは1997年11月27日の16時20分(チリ時間)で、日没の20時まで継続した。翌日11月28日には日の出から出現し13時頃に消失した。この間に撮影されたデータは光源高度-1°~70°の範囲を連続的にカバーしており、シミュレートするための基礎情報として非常に優れた記録となった。

 また、この2日間においてディスプレイ内のハロの変化は、光源高度のみに依存し、責任氷晶群がほぼ変化していないと推察される。極めて長い間安定して存在し続けたという点もまた、The Lascar displayの特異さの一つであると言えよう。

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代表的な光源高度のThe Lascar displayの模式図

 多くの研究者が様々な氷晶モデルで再現しようとしているが、現在に至るまで完全な説明は為されていない。代表的なものでは、初期氷Icの8面体氷晶による仮説が提唱され、それによるシミュレーションは実際のディスプレイとよく近似したが、一部説明が出来ていない箇所もあった。その後、画像処理技術の向上によってThe Lascar displayのより詳細な情報が得られるようになり、(2,0,-2,3)という特殊な角度のピラミッド面を持つ氷晶による仮説が提唱され、より正確なシミュレーションモデルが完成された。しかし、氷晶がこのような面を作るのは結晶学的に不安定であり、実際にそのような氷晶があるかは疑問視されている

​ 以下が現時点で考えられているThe Lascar displayの構成要素である。

アーク

11₋13°上部アーク

13°下部アーク

19°側方アーク

20°​エキゾチックハロ

20°側方アーク

28°ハロ

28°上・下部アーク

28°上部側方アーク

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