19°側方アーク
別名
英名
氷晶
配向
レア度
19° lateral arc
エキゾチック氷晶?
?
★★★★★★★★
全報告数 1、2例
概説
●19°側方アークとは
見た目は光源の視角約19°左右に現れる、光源に凸の弧で、Lascar displayで観測された一連のエキゾチックハロ群、Lascar halo familyの一種である。18°プレートアークと非常に似ているが、18°プレートアークは光源と同じ高度に出現するのに対し、19°側方アークは光源高度より少し下に現れる。
Nicolas Lefaudeuxの理論では19mPls(mixed-pyramidal/plate arc/lower side)として、氷Icの8面体氷晶の理論では19Cc(cubic ice crystal/type-c)として説明されている。
●歴史
1997/11/27-28、チリのアンデス山脈中央のラスカー火山にて、Marko Riikonen、Leena Virta、Daniel Sullivanらによって観測された所謂「Lascar display」内で認められた。
●出現頻度
まだ数例しか観測されたことが無く極めて稀である。
●原理
19°側方アークの原理は解明されていないが、エキゾチック氷晶と呼ばれる特殊な形状の氷晶による仮説がいくつか提唱されている。
「傾斜の強い(20-23)のピラミッド面を持つ氷晶」[1]
この理論において19°側方アークは、「一側が傾斜の強い(20-23)のピラミッド面、他側が通常(10-11)のピラミッド面で形成され、プリズム面が存在しない氷晶(下図の右の氷晶)」がプレート配向のとき、傾斜の強い(20-23)のピラミッド面(面33)と2つ隣の通常(10-11)のピラミッド面(面25)で形成される55°のプリズム(最小偏角19.4°)によって生じるとされる。
「crystals of hexagonal ice with (20¯23) miller index faces explain exotic arcs in the lascar halo display」より引用、一部改変
「氷Icが作り出す8面体氷晶」[2]
この理論において19°側方アークは、「一側が大きく切頂された8面体氷晶」が他側の8面体面を水平にした配向のとき(下図の左の氷晶)、切頂面と水平となっている8面体面で形成されるプリズムによって生じるとされる。尚、これで再現される19°側方アークは18°プレートアークよりやや上方に出現する。
「Halo observations provide evidence of airborne cubic ice in the Earth’s atmosphere」より引用、一部改変
●変形・出現光源高度
詳細は不明である。
光源高度が低いときは弧が鋭く、光源高度が上昇するにつれ光源から離れ、弧が開いていき、光源高度約70度で消失するとされる。
[1]
Nicolas A. Lefaudeux 「crystals of hexagonal ice with (20¯23) miller index faces explain exotic arcs in the lascar halo display」 2011
[2]
Marko Riikonen 「Halo observations provide evidence of airborne cubic ice in the Earth’s atmosphere」 2000
観測例
⇒ New case of exotic 19d plate arcs
The Halo Vault
19°側方アーク、ピラミダルハロ
⇒ Possible observation of exotic 28d upper plate arc
The Halo Vault
19°側方アーク、28°垂直アーク
Ice Crystal Halos
Lascar displayについて