120°アーク
別名
英名
氷晶
配向
レア度
120°ローウィッツアーク
120° arc,120° Lowitz arc
六角板状氷晶
(時に六角柱状氷晶)
ローウィッツ配向
★★★★★★★☆
全報告数 数例
概説
●120°アークとは
見た目は120°幻日周辺を通過する短い弧であり、時に120°幻日周辺でX字を形成する。実際は120°幻日を貫く、向日を中心とした視半径60°の円の一部(120°アークB?)と、映120°幻日を貫く、対日を中心とした視半径60°の円の一部(120°アークA?)の二種類がある。後者に比べ前者は非常に暗く、より珍しい。
120°幻日、映120°幻日のローウィッツ配向時の姿と考えられており、垂直方向に伸びる120幻日柱とは異なる。よって大規模で理想的なローウィッツ配向のときに現れる可能性がある。
●出現頻度
観測数が少なく極めて稀である。
●歴史
意外にも多くの古い文献に記録が残っており、例えば1954年3月2日のイギリスのディスプレイについての記録がある。クランウェルにてA. Blackhamが、ピーターバラにてG.D. Alcockが、レクサムにてS.E. AshmoreとR. Scuttらのそれぞれスケッチに存在が認められる。
しかしながら面白いことに、およそ1960年以降120°アークについての言及が無くなる。古い記録のため信憑性に欠けるとされたのと、映日アークや対日アークといった現象の発見により、今までの120°アークとされていたものはそれらの一部である可能性があると判断されたのが排除の理由だろう(実際その可能性も高い)。
その後、1994年8月31日フィンランド、オウル州にてMartti Penttinenが初めて説得力のある120°アークの撮影に成功した。写真には120°幻日からX字に伸びる短い弧が記録されている。
●原理
六角板状氷晶がc軸を垂直にし、c軸・a軸を中心に回転・揺動しているとき、六角板状氷晶の上底面から入射、側面と隣の側面で内部反射し、下底面より出射することで生まれる。
●変形・出現光源高度
120°アークのうち映120°幻日を貫くものを考える。
光源が0°に近いときは映120°幻日から上下に伸びている。光源高度があがるにつれ下部は短く、上部は長くなっていき、光源高度20~30°ほどで左右が繋がり上半分の円状となる。
欠損部を補った場合の全体像は「対日を中心とした視半径60°の円弧」となる。