120°幻日
別名
英名
氷晶
配向
レア度
120° parhelia
六角板氷晶
プレート配向
★★★★★☆☆☆
1~2回/年
概説
●120°幻日とは
見た目は光源と同じ高度で、方位角±120°に現れる白色の明点である。反射による現象であるため基本白色であるが、稀に散乱・回折の影響で赤みがかることもある。また、光源光度32°まででは周辺にブルースポットが出現することもある。
稀な現象であり、多くの統計で年1~2回しか観測できないとされている。[1] しかし実際は、見付けにくさ(出現位置が光源から遠い、白色のため雲に溶け込んでしまう)も観測数の少なさの一因となっていると考えられ、真の出現頻度は年1~2回以上あると予想されている。
上記の理由で120°幻日は全周幻日環と供に現れると見付けやすいが、そうでない場合は幻日環をガイドラインに出来ないため大変気付きにくい。明るい幻日が出現したときは例え幻日環が無くとも、同じ高さで、そこから方位角±120°の位置に注目しよう(自分の影が伸びる方向±60°の方向を地面に印付けるとわかりやすい)。雲が動いても位置の変わらない光の集積があればそれが120°幻日である。
薄い骸晶構造の六角板氷晶での幻日環やカラム・パリー配向での幻日環上では120°幻日は起きない。
⇒ Strangely Coloured 120° Parhelion
Atmospheric Optics
赤みがかった120°幻日
Atmospheric Optics
120°幻日とブルースポット
Atmospheric Optics
120°幻日と様々なハロ
Atmospheric Optics
120°幻日と22°幻日と幻日環
Atmospheric Optics
120°幻日と幻日環、22°ハロ、外接ハロ
Atmospheric Optics
幻日環が無く、単独で出現した120°幻日
●原理
六角板氷晶の上底面から入射、側面と隣の側面で内部反射し、下底面より出射することで生まれる。上から入射し、かつ内部反射を2度するような光路のため、骸晶でない比較的厚めの六角板氷晶でないと結像し辛い。
六角柱の側面と隣の側面で反射する、とはつまり120°の合わせ鏡に光が反射するということである。120°の合わせ鏡は任意の入射角(0°<θ≦90°)でも反射後の偏角が120°となる(下の図を参照)。よって氷晶の回転に関わらず偏角120°が維持され、光源から方位角120°の方向より観測者へ向かう光が集中し、結果として120°幻日はくっきりとした明点となるのである。(通常の22°幻日では、偏角が22~50°程と幅があるため尾を伸ばす。)
合わせ鏡による偏角は上記の図より δ = 360° - 2α となる。入射角 θi の項が無くなることから、合わせ鏡の偏角は入射角に影響を受けず、合わせ鏡の角度によってのみ決定されることが分かる。
例えば、α = 120° であれば偏角 δ = 120°、α = 90° であれば δ = 180° (再帰性反射)となる。
氷晶の三角形傾向が強いときも120°幻日は形成される。上底面から入射、側面と隣の側面で内部反射し、下底面より出射することで生まれる。六角板氷晶の時と光路が言葉上は同じだが、三角形であるため側面と隣の側面で形成される合わせ鏡は60°になっており、上記の式を考えると偏角=240°、光源から方位角±240°の位置に光が集中することとなる。これでは240°幻日になってしまう!と焦ってしまうが、安心してほしい。方位角±240°は方位角±120°と同じ位置を示している。
●変形・出現光源高度
氷晶の揺れが大きいほど垂直に伸び、120°幻日柱となる。
出現する光源高度の範囲は氷晶の厚さ、三角形傾向により変化するため一概には言えないが、光源高度が高いほど見えにくくなる。
[1]日本気象学会機関紙「天気」64巻(2017年)、鵜山義晃氏の「大気光学現象の出現頻度」によれば、太陽光では年0.2回、月光では年0回とされている。
以下、他の有志の方々による統計
年1-2回 Arbeitskreis Meteore e.V.
年2回 空の輝き
年0.8回 雪結晶・人工雪と過冷却水の実験
年1回以下 科学する空
関連
●120°幻月
月で起きる120°幻日のこと。
Atmospheric Optics
120°幻月、他様々な月光のハロ
Atmospheric Optics
120°幻月、他様々な月光のハロ
⇒ Lunar Halos Alaska North Slope
Atmospheric Optics
120°幻月、他様々な月光のハロ
Atmospheric Optics
120°幻月、他様々な月光のハロ
Atmospheric Optics
120°幻月、他様々な月光のハロ
●グラウンド(サーフェス)ハロの120°幻日、拡散光の120°幻日
グラウンド(サーフェス)ハロの120°幻日
地面や車の窓ガラス等の平面に浮かび上がる120°幻日。
拡散光の120°幻日
点光源によって作られる、観測者・光源・氷晶の位置関係で大きく形を変える120°幻日。