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moilanen a.png

 モイラネンアーク

別名

英名

氷晶 

 

配向

レア度

​ 

 
Moilanen arc, M-arc
34°の頂角を持つ楔型の氷晶?
34°の交差角板?
パリー配向
★★★★★☆☆☆
ダイヤモンドダスト時

概説

●モイラネンアークとは

 見た目は光源の約11度上に現れる比較的鋭いV字の弧で、スペクトルは弱く基本的に白色である。巻層雲等では出現せず、基本的にダイヤモンドダスト、特にスノーガンや工場の排煙等、人為的な影響を受けたダイヤモンドダストで起きやすい。そのため出現頻度の地域差が大きく、日本では極めて稀とされるモイラネンアークも、​海外のスキー場近くの町では通常のハロやアークと同じ程度にありふれた現象とされているそうだ。[1]

 モイラネンアークを作る氷晶(以降モイラネン氷晶と呼ぶ)は34度の頂角を持つと考えられており、そういった特殊な角度の面を持つ氷晶は「ピラミッド型氷晶」「平たいピラミッド型氷晶」「八面体氷晶」然り、複数の異常径の現象を引き起こすはずである。しかしながら、モイラネン氷晶はモイラネンファミリー(モイラネンアーク、モイラネンハロミッキラアーク等)を形成するのみであり、そういった点もこの氷晶及び現象の特殊性の一つである

●歴史

 モイラネンアークの最初の記録とされているものは、1975年ドイツ、フィヒテルベルクにて、Horst Gäblerが太陽から約10°上にV字の弧を観測しスケッチしたものと考えられている。その後1978年アメリカ、アラスカにてJon Nicklesが初めて撮影したが、1995年11月、Jarmo Moilanenが撮影し指摘するまで新しい現象と認識されていなかった。[2] 最初に指摘したJarmo Moilanenにちなんで「モイラネンアーク」と名付けられた。

 

●出現頻度

 ダイヤモンドダスト中では頻繁に出現する。頻度の地域差が大きく一概には述べられないが、スキー場を除くと日本では非常に稀と考えて良いだろう。

●原理

 モイラネンアークの原理は未だ解明されていない。観測記録とそのコンピュータシミュレーションから34度の頂角を持つ氷晶が責任氷晶として考えられているが、そのような形状の氷晶のサンプルは得られてない。有力な候補として34度の頂角を作る交差角板が考えられ、実際にサンプルで交差角板がちらほらと確認出来ているが、決め手に欠けているため結着が付いていない。[3]

 また、「六角板状氷晶の底面」と「六角板・柱状氷晶の側面」とがくっついた氷晶をNicolas Lefaudeuxが提案した。この氷晶では光路によっては30°のプリズム角を作ることが出来、スプリアスアーク(シミュレーション上副次的に発生してしまう、実測では存在しないアーク)も形成されにくいという。しかしながら細かい部分で実際の観測と形状や振る舞いがうまく適合しないこと、そのような形状の氷晶が未発見であることから否定的である。[4]

 モイラネンアークは先に述べた通りスノーガンや排煙によるダイヤモンドダストで頻繁に出現する一方で、自然なダイヤモンドダストでは起こりにくいという事実が知られている。そのことから人工的に供給される氷晶核による、未知の素早い氷晶形成プロセスがモイラネン氷晶の形成に関与しているのではないかと考えられている。[5]

 

 モイラネンアークはモイラネン氷晶がパリー配向に形成されると考えられている。尚モイラネンハロはランダム配向、ミッキラアークはカラム配向が対応していると考えられている。

●変形・出現光源高度

 光源高度が-数度~35°までで出現する。光源が0°に近いときは鋭いV字で、光源から約11°上に出現する。光源高度が高くなるほどV字は緩やかになり、光源から上方に少しずつ遠ざかり、暗くなっていく。[6] 一方光源高度が0°より低いほど弧は更に鋭くなっていく。

[1] TAIVAANVAHTI Moilasen kaari

[2] 

Moilanenbogen (EE77) Arbeitskreis Meteore e.V

Atmospheric Halos and the Search for Angle x M-arc

[3] Suggestion of observation: possible spurious arcs from Moilanen crystals The Halo Vault

[4] Moilanen Arc Atmospheric Optics

[5] Possible explanation of Moilanen Arc The Halo Vault

[6] Moilanen arc behaviour HALO REPORTS

関連

●20°アーク

 モイラネンアークが出現しているとき、光源の下方20°に理論上出現するとされるΛ字のアーク。ただ、このようなアークは見つかっておらず懐疑的な意見も多い。

⇒ When you see Moilanen arc – look below the sun!

Ice Crystals Halos

​20°アークについての考察

観測例

⇒ Utah Moilanen Arc

Atmospheric Optics

モイラネンアークと様々なハロ

⇒ Wide Moilanen Arc

Atmospheric Optics

モイラネンアークと様々なハロ

⇒ Moilanen Arc & Ski-Slopes

Atmospheric Optics

モイラネンアークと様々なハロ

⇒ Swedish Ice Halos

Atmospheric Optics

モイラネンアークと様々なハロ

⇒ New Halo by Marko Riikonen

Atmospheric Optics

モイラネンアークと反射型下部凸型パリーアーク?(もしくは反射下部タンジェントアーク)

⇒ Torch shaped Moilanen arc

The Halo Vault

光源高度-9°のときのモイラネンアーク。V字ではなくトーチ状の見た目。

⇒ Possible new arc from Moilanen crystals

The Halo Vault

モイラネンアークとミッキラアーク?

⇒ Suggestion of observation: possible spurious arcs from Moilanen crystals

The Halo Vault

モイラネンアークとシエビの22°アーク?、シエビのへーリックアーク?

⇒ A colored patch under Moilanen arc

The Halo Vault

モイラネンアークとモイラネンハロ?

外部解説リンク

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