9°カラムアーク
別名
英名
氷晶
配向
レア度
9°タンジェントアーク
9°ラテラルアーク
9° column arc,9° tangent arc
9° lateral arc
ピラミッド型氷晶
カラム配向
★★★★★☆☆☆
年に1、2回
概説
●9°カラムアークとは
9°カラムアークはピラミダルカラムアークの一種で、9°ハロのタンジェントアークに相当する現象である。
見た目は光源の視角9°左右に現れる虹色の弧。ただし見た目が弧のようになるのは理想的な氷晶の配向時のみであり、基本的には「9°ハロの左右が明るい」程度にしか認識出来ないことが多い。
ピラミダルハロ同様主に夏に出現するという季節性がある。
ちなみに9°カラムアークは、光源高度が高いと光源を囲む円となり9°ハロと瓜二つになる。
以前は9°ラテラルアークと呼ばれることがあったが、これはこの現象のメカニズムが分からなかった時に、光源の「側方=ラテラル」に出現することから便宜上付けられた名前であり、本来のラテラルアーク(46°カラムアーク)とは何の関係も無い。
Q. そもそもカラムアークって?
A. 簡単に言えば「タンジェントアークのお堅い言い方」
基本的な現象の名称は、
「氷晶が[配向名]配向を取る時、x°プリズムを作る2つの氷晶面を光が通過することで、[最小偏角f(x)°]付近に形成されるアーク」
→[最小偏角]×[配向名]×アーク
と体系的に命名される決まりがあります。
つまりタンジェントアークは22°カラムアークと表現でき、ピラミダル氷晶によるものであれば頭に「ピラミダル」をつけ、f(x)°ピラミダルカラムアークと表現できます。
故にピラミダルカラムアークは、「ピラミダルハロのタンジェントアーク」と言えます。
特に注釈が無く、学術的な文献でなければ、カラムアークという言葉自体ピラミダルカラムアークのことを指すことも多いため、「カラムアーク」≒「ピラミダルハロのタンジェントアーク」と考えても良いでしょう。
●歴史
9°カラムアークは1980年代後半に、アメリカのオレゴン州にて Richard Nortonによって初めて撮影された。フィンランドでは1987年4月12日に、ヘルシンキにて Veikko Mäkelä によって初めて観測されたとされる。
●出現頻度
比較的稀にしか観測されず、年に1、2回程しか出現しないとされている。[1]
●原理
ピラミッド型氷晶がc軸を水平にし、c軸・鉛直軸を中心に回転しているとき、氷晶のピラミッド面と対側の側面とで形成される約28.071°プリズムに光が通ることで生まれる。
氷で出来た28.071°プリズムを光が通過する場合、最小偏角は約8.9°となる。
●変形・出現光源高度
光源が地平線付近の時は光源に凸の弧(正確には上部と下部の2つの弧が組み合わさっている)であるが、光源高度が上昇するにつれ弧は開き、光源高度20-30°付近で左右の上部が接続する。光源高度40-50°で左右の下部も接続し、光源を囲む縦長の円形となり、更に光源高度が上昇するにつれ半径約9°の真円に近づいていく。
しかし氷晶面の比率等で振る舞いが多少変化するため、度数は参考程度にされたい。
観測例
⇒ Pyramidal Crystal Column Arcs Display
Atmospheric Optics
光源高度が高い時の、9°カラムアークと他ピラミダルカラムアーク
⇒ Some odd radius column displays from China in 2018
The Halo Vault
光源高度が高い時の、9°カラムアークと他ピラミダルカラムアーク
⇒ Large scale odd radius halo complex on Memorial Holiday 5-29-17
The Halo Vault
光源高度が高い時の、9°カラムアークと他ピラミダルカラムアーク
⇒ Major Halo Outbreak in Southern China, Apr 29 ~ May 01, 2021
The Halo Vault
光源高度が高い時の、9°カラムアークと他ピラミダルカラムアーク
⇒ From archives: odd radius column arcs in 2001
The Halo Vault
光源高度が低い時の、9°カラムアークと他ピラミダルカラムアーク