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 太陽柱

別名

英名

氷晶

配向

​ 

レア度

サンピラー、光柱
sun pillar 
様々な氷晶・雪結晶
主にプレート配向
​稀にカラム、パリー配向等
上部★★☆☆☆☆☆☆
​5~100回/年
下部★★★☆☆☆☆☆
2~8回/年

概説

●太陽柱とは

 見た目は光源から上下に伸びる白い光である。上方向に伸びている部分を上部太陽柱、下方向に伸びているものを下部太陽柱と呼び、下部太陽柱のほうが珍しい。長さは上下それぞれ光源から5-10°程であることが多く、良質なものは更に伸びるが基本的に内暈をはみ出ることはないと考えられている。

​ 上部太陽柱は年5~100回、下部太陽柱は年2~8回ほど観測されるとされ、日本では冬によく観測される。[1]

 太陽柱はプレート配向によるものが一般的で、それ故に幻日等を伴うことが多い。また、太陽柱は骸晶氷晶や未熟な雪結晶でも形成できるため、他になんの現象も伴わず太陽柱が単独で出現することも頻繁にある。しかし稀にタンジェントアークのみ伴う太陽柱が観測されることがあり、それは「カラム配向による太陽柱」の可能性が高い。(更に稀にパリー、ローウィッツ配向でも太陽柱が出現するとされているが、それぞれ単独で現れることが少なく、判別は困難だろう。)

 カラム配向の太陽柱の特徴としてプレート配向の太陽柱と比べ暗いタンジェントアークに達するほど大きいことが多い光源高度が高いときも長く伸びる、といった点がある。[2]

⇒ Upper & Lower Pillars

Atmospheric Optics

上部太陽柱、下部太陽柱、水面に映る太陽柱

⇒ Lower Pillar & Subsun

Atmospheric Optics

下部太陽柱、映日

⇒ Lower Pillar, Arctic Russia

Atmospheric Optics

下部太陽柱

⇒ Montana Halos

Atmospheric Optics

下部太陽柱

⇒ 太陽柱

月世界への招待

​太陽柱

●原理

 氷晶の揺れが適度にあるとき、水平な氷晶面(例えばプレート配向であれば底面、パリー配向では水平な側面等)に光が反射、及び内部反射することで起きる。上面を反射すると下部太陽柱が、下面を反射すると上部太陽柱が生まれる。

 適度に波のある水面に映る縦に伸びた太陽が、まさに太陽柱(下部)の原理と同じである。

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 しかしその理屈だとカラム配向は2軸回転をしているため水平になっている面が無く、太陽柱は作られないのではないだろうか?その謎を解決するために Robert Greenler が、「カラム配向の六角柱氷晶の側面の法線ベクトル」と「氷晶を中心とした天球」の交点をシミュレーションした。すると面白いことに天頂周囲に交点が集中したのである。

​ つまり「カラム配向であっても、天頂方向に光を多く反射する傾向がある」=「カラム配向であっても、六角柱側面が水平に近い状態でいる時間が長い・確率が高い傾向があることを証明したのである。[3]

<天頂周囲に交点が集中する理由>

 c軸水平の六角柱氷晶を天球の中心に置いた図をイメージしてほしい。氷晶の、鉛直軸の回転角を10°、20°・・・180°、c軸の回転角を10°、20°・・・360°とずらしていく。すると側面の法線ベクトルは、天球上の10°刻みの緯線・経線の交点をちょうど指すことになる。交点を考えると当然極点周囲に分布が集中していることが分かり、現実では10°刻みどころではないことから、より多くの交点が集中していることとなる(下の図でも点が地平線付近に比べ極点周囲に集中してるのが、色の濃さで視覚的に分かるはずだ)。法線ベクトルがどの点を指すかの確率は一様と考えられ、従ってカラム配向であっても天頂方向に光を多く反射することが分かる。ローウィッツ配向も同様である。

 六角柱側面は当然6面あるため、c軸中心に1回転するまでに単純に6回水平であるタイミングがあり、水平に近い状態も含めると案外光を天頂方向に反射することが出来るタイミングが多い、という考え方も直感的に分かりやすいかもしれない。

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⇒ Pillars & Columns

Atmospheric Optics

タンジェントアークとカラム配向によると思われる太陽柱

⇒ Column Crystal Pillars

Atmospheric Optics

タンジェントアークとカラム配向によると思われる太陽柱

⇒ Sun Pillar with Upper Tangent Arc

Astronomy Picture of the Day

タンジェントアークとカラム配向によると思われる太陽柱

⇒ Pillars, Sundogs & Windows

Atmospheric Optics

幻日、タンジェントアークとカラム配向+プレート配向によると思われる太陽柱

●変形・出現光源高度

 揺れが小さいほど映日に近づき、揺れが大きいほど上下に良く伸びる。揺れが大き過ぎると見えなくなる(時化た水面には太陽が映らないのと同様である)。

​ 光源高度が地平線に近いほど明るく、長くなる。

[1]日本気象学会機関紙「天気」64巻(2017年)、鵜山義晃氏の「大気光学現象の出現頻度」によれば、太陽光では年5.1回、月光では年1.3回とされている。

​ 以下、他の有志の方々による統計

上部 年20-30回、下部 年2-8回 Arbeitskreis Meteore e.V.

年100回 Taivaanvahti

年数回 空の輝き

年8.7回 雪結晶・人工雪と過冷却水の実験

年5回 科学する空

​[2]Atmospheric Optics Column Crystal Pillars

​[3]「太陽からの贈り物」 Robert Greenlar p.63

関連

●月柱

 月光柱ムーンピラーとも呼ばれる、月の光によって作られる光柱

⇒ Moon Pillars

Atmospheric Optics

​月柱

⇒ Upper & Lower Moon Pillars (& Mars)

Atmospheric Optics

​月柱

⇒ 月柱

月世界への招待

​月柱

●金星柱

 ビーナスピラーとも呼ばれる、金星の光によって作られる光柱。小さいため双眼鏡、望遠鏡があると観測しやすい。

⇒ Venus Pillar

Atmospheric Optics

金星柱

⇒ Venus Pillars

Atmospheric Optics

金星柱

⇒ 金星柱

月世界への招待

​金星柱

●星柱

 スターピラーとも呼ばれる、シリウス等の特に明るい星の光によって作られる光柱。かなり小さいため観測には双眼鏡、望遠鏡が必要である。

⇒ 星柱

雪結晶・人工雪と過冷却水の実験

シリウス、アンタレスに出来た星柱

●噴火光柱

 噴火の光の光によって作られる光柱

⇒ Etna light pillar

Atmospheric optics

イタリア、エトナ火山の噴火によって形成された光柱

●(拡散光の)光柱

 点光源によって作られる光柱のことで、街灯によるものは「街灯光柱、ストリートライトピラー」、漁火によるものは「漁火光柱」と特殊な名前で呼ばれることもある。点光源の光は拡散光(広がって進む性質の光)であるため平行光によって作られる太陽柱、月柱等より遥かに高く、長く伸びることが出来る。

 

 (拡散光の)光柱は成因から大別すると、ダイヤモンドダストによるものとによるものに分けられ、形状も若干異なる。前者は氷晶が光源の高さレベルにまで存在することから光源自体が縦に伸びるような姿になるのに対し、後者は氷晶が上空に存在するため光源の遥か上に線状の光が出現するという奇妙な見た目になる。

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左:ダイヤモンドダストによる光柱 右:雲による光柱

​ 前者は稀に拡散光のタンジェントアークを伴い、その見た目から「トランペットピラー」「フレアを伴ったピラー」と呼ばれることがある。また、後者は雲(氷晶)の濃度によって明度分布にむらが現れやすい、日本においては日本海側沿岸の地域でよく見られる、といった特徴がある。

 光柱は下図に示した通り、拡散光の場合焦線が天頂及び天底に収束していく。そのため至近距離で光柱と出会うと天頂に光柱が収束する像、及び天頂付近に明点を観測できることがあり、それはzenith spotと呼ばれる

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左:光源が観測者より上の時の焦線 右:光源が観測者より下の時の焦線

⇒ Russian Pillars

Atmospheric Optics

長く伸びた光柱

⇒ Observing diamond dust halos at the Bílá ski centre

The Halo Vault

非常に長く伸びた光柱と超幻日、幻日環、環天頂アーク

⇒ Light Pillars, Xilinhot, Inner Mongolia

Atmospheric Optics

カラフルな街灯による光柱

⇒ Tangent Arc Light Pillars

Atmospheric Optics

光柱と拡散光のタンジェントアーク、いわゆる「トランペットピラー」

⇒ Pillars with Flares Part1, Part2

Atmospheric Optics

光柱と拡散光のタンジェントアーク、いわゆる「トランペットピラー」

⇒ Reflected Town Map

Atmospheric Optics

街灯による光柱で、空に地図が記された一例

⇒ Lights radiating from the zenith  

Atmospheric Optics

天頂へ収束する光柱

●0°へーリックアーク

 へーリックアークの概念を拡張させて、「光源を貫くアークで、その成因がx°傾斜した氷晶面の反射によるもの」をx°へーリックアークと呼ぶことにすると、通常のへーリックアークはパリー氷晶の60°傾斜した面に反射することで形成されるため60°へーリックアークとなり、上部・下部太陽柱及び光柱0°へーリックアークとなる。

●サンピラーエコー

 太陽柱の両側に現れる少し湾曲した光柱。いくつかの観測例はあるものの詳細は不明である。2001年12月23日にフィンランドのコトカ、クーサンコスキ、エスポーで同時に観測されたことから、クリスマスアークと呼ばれる。

 楕円ハロの仲間、もしくは光源高度が低い時の楕円ハロとも考えられているためこのページにまとめたが、広範囲に観測されたこと(楕円ハロは特徴として観測範囲が狭い)や平たいピラミダル氷晶でのシミュレーションが上手く適合しないことから、異なる氷晶の可能性もある。

⇒ Sun Pillar Echoes

Atmospheric Optics

太陽柱の両脇にある「エコー」

⇒ An unknown halo and other displays by Jukka Ruoskanen

The Halo Vault

​太陽柱の両脇にある光の柱

⇒ Rare halos - 27.1.2023 at 18.35 - 27.1.2023 at 19.55 Jämsä

Taivaanvahti

​人工灯による光柱と両脇にある光の柱

外部解説リンク

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