5-6°ハロ
別名
英名
氷晶
配向
レア度
5° halo, 6° halo
エキゾチック氷晶?
ランダム配向
★★★★★★★★
全報告数 1例
概説
●5-6°ハロとは
見た目は光源を中心とした半径が視角5-6°の円で、観測された正円のハロの中で最も小さい。そのため光源の光にマスクされやすく見逃される可能性が非常に高い。
1998年12月10日の南極にて、Jarmo Moilanen,Walter Tape,Robert Greenlerらが撮影した一例のみで詳細は不明。撮影時は通常のピラミダルハロのディスプレイだと思われていたが、コンピュータで写真を確認しているときに9°ハロより内側の小さなハロに気がついたという。ちなみにこの時の写真のいくつかにぼんやりと12°ハロとおぼしきものも写っている。[1]
●出現頻度
まだ1例しか観測されたことが無く極めて稀である。
●原理
5-6°ハロの原理は解明されていない。エキゾチック氷晶と呼ばれる特殊な形状の氷晶によるもの、もしくはアーティファクトと考えられている。
エキゾチック氷晶の理論上の候補として以下がある。
「傾斜の強い(20-23)のピラミッド面を持つ氷晶」[2]
2010年にNicolas Lefaudeuxが提唱した。この氷晶は5-6°ハロに加え12-13°ハロ、28°ハロを再現することができ、更に通常のピラミッド型氷晶と組み合わせることでLascar displaysも再現できた。しかしこのような形状の氷晶が実際に観測されたことがない、結晶学的に(20-23)という面は形成されにくい(Bravaisの法則:ミラー指数の大きい面は形成されにくい)という欠点がある。
「通常のピラミッド面(10-11)、傾斜が弱いピラミッド面(10-12)、二次ピラミッド面(11-21)の組合わさった特殊なピラミッド型氷晶」[3]
Alexander Haussmannが提案した。Bravaisの法則を踏まえ、Nicolas Lefaudeuxが提唱した「傾斜の強い{20-23}のピラミッド面を持つ氷晶」より形成されやすく、かつ5-6°・12-13°・28°の最小偏角を作り出す面の組み合わせを計算した結果、見つけ出されたものである。しかしこちらも同じく、このような形状の氷晶が実際に観測されたことがないという弱点がある。また、このような形の氷晶があるとするならば他にも様々な度数・形状の現象が作られてしまうだろう。
●変形・出現光源高度
不明である。
[1] South Pole display 11-12.12.1998
[2] Nicolas A. Lefaudeux 「Crystals of hexagonal ice with (20-23) Miller index faces explain exotic arcs in the Lascar halo display」 2011
[3] A re-visited 13° halo observation from 2013, and some thoughts about the responsible crystal faces Halo Phenomena
観測例
5-6°ハロ、12-13°ハロ、ピラミダルハロ 1998年