46°ローウィッツアーク
別名
英名
氷晶
配向
レア度
46°接触アーク、ガレアーク
46° Lowitz arc
46° contact arc
Gallé's arc
六角板状氷晶
(時に六角柱状氷晶)
ローウィッツ配向
★★★★★★☆☆
数年に1回
概説
●46°ローウィッツアークとは
見た目は46°ハロに接触する小さめの虹色(内側が赤、外側が紫)の弧である。最大10種類出現し、それぞれ上部中央・下部中央、上部右内側・下部左内側、上部左内側・下部右内側、上部右外側・下部右外側、上部左外側・下部左外側で、「・」で示した対角線の関係性の弧同士は同じ光路で形成される。Gallé's arcとも呼ばれることがある。
ちなみに光源高度約15~27°では環天頂アーク、上部ラテラルアークが外暈と接触しマスクされてしまうため識別が困難になるので注意しよう。
46°ローウィッツアークが起きているとき、氷晶は良質で豊富なローウィッツ配向となっていることが予想されるため、適切な環境であれば確実に明るい22°ローウィッツアーク・シュルテスアークを伴うだろう。
●歴史
46°ローウィッツアークについて初めて言及されたのは、46°ローウィッツアークとしてでは無く1840年にG. Galléによる環天頂アークの誤ったメカニズムとしてであった。[1] Galléの説では、環天頂アークは振動した氷晶(今でいうローウィッツ配向)の90°プリズムで光が屈折することで起きるとし、「46°ハロのタンジェントアーク」のようなものとして捉えられた。ちなみに環天頂アークの正しい説明は1847年にA. Bravaisによってなされ[2]、「Gallé’s arc」は机上の空論の存在として伝承されていった。
1970年後半、モンテカルロシミュレーションが可能になった頃、R. Greenlerは著書である「Rainbows、Halos、and Glories」の中で46°ローウィッツアークについて分析したが、それでも理論上の存在程度の扱いであった。
2006年10月26日フィンランドでのダイヤモンドダストディスプレイで、とうとう明確な46°ローウィッツアークを捕らえられた。「環天頂アークと上部ラテラルアークの接合部」の下、46°ハロの周りの不自然な虹色の強度増加として認められ、シミュレーション等の分析の結果これが46°ローウィッツアークだと判明した。
●出現頻度
とても稀にしか観測されず、数年に1回程しか出現しないとされている。
●原理
六角板状氷晶がc軸を垂直にし、c軸・a軸を中心に回転・揺動しているとき、以下の図のような光路を経ることで出現する。
46°ローウィッツアークの光路。
黄 :上部・下部 橙:上部・下部
黄緑:上部左内側・下部右内側 緑:上部左外側・下部左外側
水 :上部右内側・下部左内側 青:上部右外側・下部右外側
●変形・出現光源高度
光源が0°では10種全てが外暈を取り囲むように出現する。光源高度が上がるにつれ複雑に変形していき、弧の数が減っていく。徐々に光源に凸だった弧は光源に凹となり、光源高度90°では2重の同心円となる。
[1] G. Gallé 「UeberHöfeundNebensonnen」 1840
[2] A. Bravais 「MémoiresurlesHalosetlesPhénomènesOptiquesquilesAccompagnent」 1847
関連
●月の46°ローウィッツアーク
月光による46°ローウィッツアークのこと。言うまでもなく太陽によるそれより格段に珍しい。
観測例
Atmospheric Optics
Arbeitskreis Meteore e.V.
上部外側、下部内側46°ローウィッツアーク、他の様々なハロ
Atmospheric Optics
下部内側46°ローウィッツアークか46°ハロの一部、他の様々なハロ
⇒ The 46° Lowitz arcs and their history
Halo Phenomena
46°ローウィッツアークの歴史と考察
⇒ Diamond dust season opened in Finland
HALO REPORTS
HALO REPORTS
明瞭な上部中央、上部内側46°ローウィッツアーク、その他の様々なハロ
⇒ Reflected Lowitz arcs and 46° contact arcs in Hyvinkää
Ice Crystals Halos
人工光源による46°ローウィッツアーク、シュルテスアーク、その他の様々なハロ